数えきれないほどロクロ引きしているはずなのに、大井戸茶碗をロクロ引きするのは難しい。素地土の粘り加減、含水加減といった物理的条件もさることながら、作者の体調とか心の状態のほうが影響するようだ。この大井戸は伸びやかにロクロ引き出来た。それに加え、いつもの還元気味の焼成法と違って、スタンダードな焼成だから、なおさらおおらかに見える。枇杷色も素直な発色だ。伴ってカイラギも穏やかな焼き上がり。径149〜158ミリ。高さ98ミリ。408グラムとほどほどの手取り。