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以織窯

2023年1月23日フェイスブックに関連記事掲載

以織志野茶盌

誰もが「田舎町のホラ吹き爺」と思うだろう。
何を今更と言う人もいる。
和陶器の美を代表する美濃陶「志野焼き」の釉薬は
昭和の巨匠たちの長年の研究で「長石単釉」と定まっている。
令和のこの時代も続々長石志野釉の美しい作品が生まれている。
なのに田舎爺の以織は「志野釉は長石じゃあないよ」と唱えざるをえない。
根拠はある。
ネット上に「中近世施釉陶器の自然科学的研究」というpdfがある。
室町から桃山時代にかけて唐津、瀬戸、美濃で焼かれた陶磁器136点の
現代科学分析の載っている。ぜひ観てほしい。


田舎爺・以織は志野釉に長石は使わない。
替わりに土と石と灰汁(アク)を使って志野を焼く。
答えは上記のpdfにある。
釉薬の基本は土分と石分とアルカリ分で出来ている。
アルカリは土石を溶かしてガラスにする薬だ。
とりわけ長石という鉱物には程よく土石分とアルカリ分を含んでいて
自分だけでも釉薬になる。現代の焼物には欠かせない材料だ。
一般の長石はカリ(カリウム)とソーダ(ナトリウム)という
2種類のアルカリ分で構成される。
日本で産出される長石には、ほとんどこの2種のアルカリ分が入っている。
それなのに、このpdfの分析結果からすると
室町桃山の唐津、瀬戸、美濃産陶器の釉はカリが主体。
不思議なことにソーダ分はゼロか微量。
分析した研究者は長石が使われていたと結論づけている。
だが、以織は否。
理由は火山国日本ではソーダ分を含まない純粋なカリ長石の産出は難しい。
500年前に長石の輸入があったと想像できなくもないけれど
九州から美濃の山奥まで流通していたかと問われれば、誰もが首をかしげるはずだ。
他の研究者もこの件を不思議がっている報告が実はある。
なのに桃山志野に「長石を使っていなかった」と考えてみる人はいない。
カリを含む鉱物で釉薬になるものは長石以外ないからだ。
そんな先入観を捨てて「カリ長石を作ればいいのでは」と以織は考えた。
それで土と石と灰汁で志野を焼く。灰汁とは化学名「炭酸カリウム」だ。
桃山志野と現代長石釉志野では表情が違う。と、感じる人は多い。
以織は長石釉では桃山志野の質感は「表せない」と思っている。
さて皆さんの目にはどう写るか。

《更新情報》

令和5年1月27日;過去にフェイスブックに投稿した「井戸あらすじ」ページを新設しました。

令和5年1月25日;「以織志野・記事と画像」ページを新設しました。

令和5年1月24日;以織志野茶盌記事にて久しぶりの更新

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